買占められたスーパーにて 「パンだせっ!」
2011年 04月 01日
それは、私がパンやお米の並ぶコーナーに差し掛かった時のことだった・・・
「パールライスねぇじゃねえかよ!」
という大きなどなり声が耳に響いてきた!周囲の人たちも一斉に振り返る。
「あなた、みんな見てるから大きな声出さないでよ」
と奥さんが宥めているモノの収まる気配はまるでない。主人は毛むくじゃらの熊のような大男だ!奥さんはまだ小ささ子供を抱いている。二人とも少し疲れているのか目の下のクマが目立つ。そして、のそのそと総菜パンや菓子パンの並んでいたであろうコーナーを見渡す。
「んだよ!パンもねぇじゃねえかよ!おい!見せもんじゃねぇぞ!」
ついにブチ切れた主人!もはや誰にも彼は止められないと周囲はドン引きだ。ここは町、目を合わせようとする勇者などはいない。しかし、勇気ある一人の店員がやって来た。
「お客様どういたしましたか!?」と声を掛ける。物腰こそ柔らかそうだが、そのメガネの奥の表情にはどこか自信がうかがえる。おそらく店長であろう。
「どっからわざわざ来たと思ってんだよ!何もねぇじゃねえかよ!ふざけんな!パンだせ」
「それは遠くからわざわざご来店頂いたことと拝察いたします。誠にありがとうございます。ちなみにつかぬことをお伺いさせて頂きますが、本当にパンダで宜しいのでしょうか!?」
さすがベテラン店長!皆が心の中で「おおー」という声にならぬ声を漏らしつつ見守る。
「パンだって言ってんだろ!早くしろよ!!」
「お客様、誠に申し訳ありませんが当店ではとある条約に基づき、ご用意致しかねます。本日から上野の方でならご用意があるそうですが。。。」
「いやいやいや、シンシンとリーリーかよ!」と、この瞬間、
その場にいたお客さん全員の心が一丸となった!
因みにこっそり写真を撮りましたが、こんな夫婦でした。

by alchimista01 | 2011-04-01 17:27 | けふの些事